大きな病気にかかったとき、家族の存在が心の支えだと感じるはずです。家族から病気が治ることを願う励ましの言葉を聞いているうちに、将来への希望を抱くのです。病気さえ治れば明るい未来が見えてくるはずだと信じるようになり、病気と闘うことへの決意を固めていくのです。
私の友人は、小さいころに病気で家族を亡くしたことがきっかけで看護師になりました。彼女は自分が少しも病気完治の役に立てなかったことが悔しくてたまらなかったのだそうです。そんな彼女は現在、救急医療に携わり多くの人々の命を助けています。健康な人はみんなそれが当たり前のように生活しているけれど、いつなにが起こるかは本当にわからない。周囲のみんなが健康体でいることをできれば感謝してほしいと語っていました。この言葉を聞いて、自分も色々と生活態度や食事面を見直そうと感じる部分がありました。看護師という仕事は、いつも命と向き合う職種です。病気の中でも必死に生きる姿や、身近な人を亡くして涙する人々を毎日のように目撃していたら、今自分が生きていることの尊さや周囲の人が健康に生きていることのありがたみを感じられるのだと思います。こういう話に出会えた私自身、もう少し健康でいることのありがたみを実感しながら生きていこうと感じました。
その友人とこの前話したとき、救急医療から緩和ケアの方に移りたいと語っていました。自分自身が小さいころに経験したどうしようもない痛みを感じる身近な人たちを、少しでも楽な気持ちにさせてあげたいのだそうです。そう語っている彼女がとても大きくみえて、感慨深い気持ちになりました。彼女のように家族を中心にケアをする、「家族支援専門看護師」というものがあるそうです。患者さんを支えるのは家族です。そんな家族の心のケアをすることは重要な役割です。患者さんの家族として看護師さんに支えられたことがきっかけで、看護師に転職したいと考えるようになった方は多いのだそうです。